現代の感覚では想像しにくいが、中世のヨーロッパでは金貸業は禁止されていた。
厳格に施行されていなかったが、中世の銀行家や商人は罪の意識がまとわりついていた。
聖アンブロジウス(337~97)は利子をとって金を貸すことを非難し、もらった以上をとることは罪だとした。
1179年の第三ラテラノ公会議では、高利貸しをキリスト教徒の墓地に埋葬することを禁止。
高利は強欲の大罪と結びつけられ、強盗・嘘・暴力などと同罪とされた。
『神曲』を書いたダンテは「金貸しは正直者を貧困に追いやる泥棒である」としている。
シェイクスピアの『ヴェニスの商人』では、ユダヤ人の金貸しシャイロックは悪役。
そんなユダヤ人でも『旧約聖書』では、仲間からは利子をとってはならないとした。
イスラム教でも仲間から利子をとるのは禁止されている。
歴史的に見ると、現代は堕落した時代、腐敗した社会。銀行やローン会社で働いている人は地獄に落ちてしまう。
証券会社はどうだろう?おそらく同類である。
いずれも儲かる業種ではあるけれど、憎まれることは避けられない。
「最後の審判」の時に、あらゆる罪を清算できるであろうか?
また金融危機が訪れた時に、多くの人が傷つく。
仕事がなくなり生活は困窮し、株の暴落で資産が壊滅、負債を抱えていても銀行はお金を貸してくれない。
しかし銀行は助けてもらえる可能性がある。私たちが払った税金で。
現代の私たちが中世の感覚がわからないように、未来から見たら現代の経済システムは理解できないものに違いない。
もっと平和で平等な経済の仕組みができないものか?
ビットコインなどの暗号通貨、ブロックチェーンの技術を使って、今とは違う経済システムができることを私は夢見ている。