山の中にある修行道場「安泰寺」で曹洞宗の僧侶となった藤田一照さんと山下良道さんの対談。
2人とも僧侶になってからアメリカで活動しているので、日本外からの視点で仏教の話をしてくれる。
特に良かったのは第四章の【「瞑想メソッド」を超える」】。
瞑想で行き詰っている人、なかなか進展が感じられない人、は読んで欲しい。障害となっている壁を越えられるかも。
瞑想をしたことがある人なら呼吸に集中する瞑想をしたことがあるはず。
しかしその時に「私」が呼吸を観察してはいけない。
呼吸を観察することによって「私」を手放すことができる、と思われているがそれは違う。
いつもと同じ意識で瞑想するのでなく、「私」がいない状態で呼吸を観察する。
体の感覚を観察する時は「体の中で体を観察する」。
自分=心、の方式を越えなければならない。心を無理やり押さえつけてコントロールするのでなく、心が幻想だと気づく。それでようやく手放すことができ、本当の自由になれる。
しかしそれが難しい。
生まれてからずっと家の中で育った人に「あなたは生まれてからずっと家の中に閉じ込めているのですよ。外に出て自由になりましょう」と言ってもピンとこないのと一緒。
山下良道さん、4年間のミャンマーにいたが最後の方でようやく見えてきたそうだ。
私たちも気長にコツコツと瞑想を続けていこう。
アップデートする仏教、ってことで「仏教1.0」は形骸化した仏教。
日本では習慣となっているけど、本当の意味で心を救ってくれない仏教。この本では「治療行為を行ってくれない病院」に例えている。
調子が悪くなると習慣なので病院に行くけれど、そこでは治療行為が行われていない。
「仏教2.0」は方法・テクニックとしての仏教。具体的な瞑想の方法を教えてくれて、実際にそれは効果があるのだが、そこにも問題が。
あまりにも「私がこの方法で瞑想するのだ」との意識が強くなってしまう。
さて「仏教3.0」は1.0と2.0のハイブリッド。
「ただ坐れ」と言う伝統的な教えと、具体的な瞑想方法を教えてくれる「マインドフルネス」のメソッド。この2つをバランスよく取り入れる。
今でも瞑想してる人、これから瞑想をする人。みんなの瞑想が深まり、進歩することを祈ります。