心理学、カウンセリング、臨床心理士、などに興味があるのなら読むべき。
著者は最相葉月(さいしょうはづき)さん。なんだか素敵な名前ですな。
紹介文:
『絶対音感』『星新一』の著者が選んだ次なるテーマは、“心の病”だった―。
河合隼雄の箱庭療法を試み中井久夫から絵画療法を受け、自らもカウンセリングを学んだ。心の治療のあり方に迫り、セラピストとクライエントの関係性を読み解く。
そして五年間の取材ののち、“私”の心もまた、病を抱えていることに気づき…。現代を生きるすべての人に響く、傑作ドキュメンタリー!
日本の心理療法の歴史を知るうえでとても有効。
また、普段は目にすることのない心理療法の現場がどのようになっているのかを知ることができる。
心理療法にも色々とあって、「精神分析療法」、「非指示的・来談者中心療法」、「行動療法」などがある。
この本でよく出てくるのは、砂の入った箱に自分の好きなおもちゃを置いていく「箱庭療法」、絵を描く「絵画療法」。
箱庭に置かれたおもちゃの種類や位置、描かれた絵から表面に出てこない心理状態を探っていく。
しかしこの療法、時間がかかることもあって今ではあまり活用されていないそうだ。
今は心理療法の現場も忙しく、重症でない患者は流れ作業のように診察されていく。
この本では「三分診療」という言葉が使われている。あっと言う間に診察が終わってしまうからだ。
しかし「どの心理療法が正しいか」はハッキリと言えない。どんな心理療法がその人に合うかはわからないらだ。
人の心はそれぞれ全く違うから、マニュアルのような物がなかなか作るのが難しい。国によっても人の心理は変わってくる。
心の病が増えてきて、これからもさらに増えていくだろう。
人の心を癒すセラピストがゆっくりと患者の話を聞いて、その人に合った治療法を提供できるようになると良いね。
落ち込んでいる時に「病院に行って相談してみた方がいいかな?」と心理療法を受けている友達に聞いてみたことがある。
その時の答えは「行かなくていいですよ。行っても薬をもらうだけだから」と言われたのを思い出した。
やはり心理療法の現場は忙しすぎるようだ。
もっと日本全体が時間にゆとりがあって、みんながいつでもどこでも雑談ができるような社会になるといいな。
電車がちょっと遅れただけで駅員に怒りをぶちかます人も東京にいるし。
心の余裕。これ大事。
もっと日本が精神的に豊かな国になりますように。
この本のデメリットとしては、心理学者がたくさん出てくるので名前を覚えるのが大変。真剣に読まないと誰が誰なのかわからなくなってしまう。