1ヶ月前に読んだオリヴァー・サックスの「火星の人類学者」がとても興味深い内容だったので、同じ著者による本を読んでみた。
「火星の人類学者」~脳神経科医と7人の奇妙な患者 - ヨノギ式~幸せになるゾウ
今回も色々な症例が紹介されている。
最初に出てくる「妻の頭を帽子とまちがえてかぶろうとする音楽家」は自分で靴が履けなかったりする。
目は見えるのだけど、靴がどこにあるのか分からないのだ。自分の足を靴だと思い、靴を自分の足だと思ってしまう。
そして帰る時には帽子を探して、妻の頭をつかんでしまうという。
45歳の男は19歳より後の記憶が全くなく、自分がまだ19歳だと思っている。そして2~3分前の出来事を忘れてしまう。
まるで映画「メメント」の主人公のようだ。
「メメント」~この映画を1回で理解するのは可能か!? - ヨノギ式~幸せになるゾウ
自分の体が存在する、という感覚がない人も出てくる。
当たり前すぎて意識することがない感覚の1つだけれど、自分の体がどこにあるのか分からないと大変なことになる。
自分の足なのに、それが切断された死体のような足だと感じてしまう。
気味が悪いのでその足をベッドから押し出そうとすると、自分までベッドから落ちてしまう。
この症状とは逆に、なくなってしまった指や腕の痛みを感じる「ファントム・ペイン」というのもある。
ゲームが好きならすぐにメタルギアソリッドV ファントムペイン - PS4のことが心に浮かんだのでは?
オルゴールのように懐かしい音楽が聞こえ続ける老婦人もいる。
今まで記憶になかった音楽が頭の中で流れてきたり、頭の中の音楽がうるさすぎて困ってしまう人もいる。
作曲家のショスタコーヴィチは頭の中に弾丸の破片があって、頭を傾けると音楽が聴こえてくる、との話も出てくるのだけれどこれは本当なのであろうか?
そしてこの現象を作曲に利用したとか。なのでショスタコーヴィチはその金属を頭から取り除く手術を断り続けたそうだ。
それにしても人間の脳とは不思議である。
まだまだ理解しきれていない領域があり、人間の未知なる可能性、隠れた能力、に期待してしまう。
ショスタコーヴィチの話、調べてみた。