京極夏彦による怪談集。
一つ一つの話はそんなに長くないので、寝る前にちょっと読むのにちょうど良い。
たった二ページで終わってしまう話もある。
紹介文:
愛、絆、情―すなわち執着は、人を鬼と成す。人は人を慈しみ、嫉妬し、畏れをいだく。その思いが強ければ強いほどに。“生と死”“人と鬼”の狭間を描く、京極小説の神髄。鬼気迫る短篇集。
過去と現在が奇妙に交錯する「鬼縁」、読み応えあり。ページをめくるタイミングにもこだわる京極夏彦の職人技が光る。
「鬼情」の段落の配置が今まで見たことがない構成になっており独特。禅問答のような会話だけでなく、段落の動きにも注目して読みたい。
鬼とは見えぬもの。鬼とは隠れたるもの。魅入られる人の裡に、鬼はいる。
愛とは情欲である。執着に溺れ、永遠に煩悩の虜になる。それを――鬼と云うのだ。
あなたは自分の心の中にも鬼を見出すであろうか?