著者である高野秀行氏のモットーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」。
1966年生まれだが、もし生まれたのがあと30年ぐらい遅かったらユーチューバーとかになっていたのかな?
だが中国の国境からミャンマーの山奥に潜入したのは1995年。まだネットが普及していない時代にどうやって情報を集めて潜入したのかが気になる。
ゲリラが支配する地域、とのことなので馳星周の小説のように怖い人がたくさん出てくるのかと思ったら、そうでもなかった。
むしろアヘン栽培を体験するため、山奥の村で生活をするのでむしろほのぼのしている雰囲気。村での生活、習慣、人間関係、などが面白い。
アヘン栽培もほとんどの作業が「草取り」。けっこう地味である。逆に言えば、荒れ地でもちゃんと育つ強い植物。
村での生活で、ときおり厳しい現実をかいま見ることもある。そこはやはりゲリラ地域なのだ。
こんな本を読んでしまうと冒険的な旅に出たくなってしまう。
でも普通の人はやはりネットで情報が入る場所、地図がある場所だけを旅するのが無難だろうな。
本を読むだけで満足することにしよう。
内容紹介:
ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州。
1995年、アヘンを持つ者が力を握る無法地帯ともいわれるその地に単身7カ月、播種から収穫までケシ栽培に従事した著者が見た麻薬生産。
それは農業なのか犯罪なのか。小さな村の暖かい人間模様、経済、教育。実際のアヘン中毒とはどういうことか。
「そこまでやるか」と常に読者を驚かせてきた伝説のルポルタージュ。
村人も貴重な現金収入となるアヘンを少しは吸う。おそらく日本人が酒を飲んだりタバコを吸ったりするのと同じような感覚で。
麻薬はなぜ麻薬かと言うと、それが法律で禁止されている。ただそれだけの理由。
ネパールのおばちゃんは畑仕事に行く前に大麻を一服するし、南米ではコカの葉を3枚だけ口に含める。
より多くの快楽を得るために自然物を加工する。だから人体に有害な物質ができてしまうのではなかろうか?
悪魔は快楽を求める人間の心の中に存在するのかもしれない。