伝説の投資家の一人であるジム・ロジャーズの旅。
1999年の元旦に旅をスタート。改造した黄色のベンツに乗って陸路で移動していく。
2000年の元旦には一緒に旅をしている女性、ペイジさんと結婚式。
2001年末の約3年間まで旅は続く。116カ国・25万キロの旅。
アイスランドから出発し、ヨーロッパ→トルコ→中央アジアを突っ切って→中国→韓国→日本。
日本からはロシアを突っ切り、再びヨーロッパへ。
ヨーロッパからアフリカ大陸を海岸沿いに反時計回りで一周。
そしてサウジアラビア→パキスタン→インド→ビルマ→マレーシア→インドネシア→オーストラリア→ニュージーランド。
太平洋を横断して南米大陸へ。アラスカまで北上してニューヨークに到着。
ギネスブックにも載る世界記録的な旅。
ジム・ロジャーズは1942年生まれのアメリカ人。
1973年にこちらもまた伝説の投資家であるジョージ・ソロスとともにクォンタム・ファンドを設立。(ちなみにジョージ・ソロスは「イングランド銀行を潰した男」として伝説を残している。)
1980年に37歳で引退(うらやましい!)
この旅の前の1990年にはバイクですでに世界一周をしていたりする。すごい行動力だ。
バイクが好きな人も楽しめそうな本ですな。
今回の旅は投資家も勉強になるし、旅人もわくわくしながら読める。
投資家の目線で旅をしても、起こってしまう困難は旅人と変わらない。
特に国境越えやビザ取得の苦労話は、旅人なら共感してしまう。
面白い話はたくさんあるのだが、アフリカでの話は目を引いた。
アメリカで寄付された衣料品はアフリカでは商品になっており、巨大なマーケットになっているそうだ。
おかげでアフリカでは無料の衣料品と勝負できず、仕立屋が壊滅だとか。
食料でも同じようなことが起きていて、あまりにも多くのアフリカ人が支給される小麦に頼っていて、農業をする人がほとんどいなくなってしまった・・・。
助けるつもりが、逆に自立するのを妨害しているような状態に。
あと援助をもらっている孤児院は、外国の検査官が来た時だけ孤児だらけになるそうだ。検査官が帰ると、孤児も自分の家に帰って行くという・・・。
世界の闇は思ったよりも深い。
投資家として国々の経済状況を分析しているのが、違った目線で世界が見えて良い。
特にエジプトのムバラク政権に関しては予言的な内容になっている。
旅人、投資家、読書家、の人が楽しめる一石三鳥の本。
ジム・ロジャーズはこんなことも言っている。
『内向きと言われている日本の若者も、外へ出て、誰も知り合いがいなくて言葉も通じない国へ行ってみるべきです。
冒険しないと、つまらない人生になってしまいますよ。』
出典:「世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60」(プレジデント社)
さあ、みんな旅に出ようではないか!!
ちょっと気になったのは、旅が進めば進むほど文章の量が減っていくこと。
おそらく旅の初めは全てが目新しく刺激的だったのだろう。細かく色々なことが書いてある。
旅も慣れてくるとだんだん刺激や感想が減っていく。人間は環境に慣れてしまう生き物なのだ。
適切な旅の期間とはどのぐらいなのであろう??